私、須藤真奈美。特技は柔道、趣味は身体を鍛えることと人助け。そんなパワフル高校生! 今日も女の子を泣かせる最低男はこのマナミちゃんがぶん投げるわよっ!!! 私に怖いものなんて何も無い!!! 「あ、鍋島だ。」 「きゃーーーーーーーっ!!!?」 迸る悲鳴は決して黄色い声…なんかじゃない。 考えるよりも早く階段の影に飛び込んだ反射神経パーフェクトな私のボディ。そろそろと影から顔だけ出して親友の視線を辿れば廊下の遥か向こうにその人有り。 遠目でもわかる長身。スポーツ刈りにした頭はまたちょっと髪が伸びてきている。四角っぽい顔に少し釣り上がった眼。日本人にしてはちょっと掘りが深い感じの横顔。夏服の袖から伸びる腕は小麦色を通り越して黒く焼けている。 あれこそ私のヘビつまりは天敵、その名も鍋島雄二! 「あんた……ほんっっっとーに鍋島苦手なのね。」 「う、ううううるさいっ」 強がって応えるけどああ私ってば腰が引けてるわ。 同じクラスの鍋島雄二。普段は他の男達と一緒にバカやってるけどさりげなくフェミニストでサバサバした性格が気にいってたクラスメイト。ほんの二ヶ月前まではごく当たり前におはようとかまたなとか言い合って、気が向いたら会話とかもする。そんな馬の合う男友達の一人……だったはずなのに。 きっかけとか覚えてない。だから原因もわからない。わからないが二ヶ月ほど前から私は急にアイツの顔を見ると、こう…わけのわからない得体の知れない物が腹の辺りから込み上げてきて、気がついたときには身体が勝手に回れ右。分けが判らないままそんな日々が続いていると一週間もした頃には今みたく名前を聞いただけで女の子丸出しの悲鳴が勝手に出るように。そんなんだから無意識に鍋島の気配を探っては向こうが気付く前に隠れる毎日。ああもうなんなのかしら本当! 「おーい須藤!鍋島がこっちくるぞー」 「きゃーーーーーーーっ!!!?」 「…ぶ、っははははは!!」 ……この声は! 「てんめぇええ田中!!! またからかったなぁ!!!?」 「うわ逃げろ!!!」 「待ちやがれアホんだらぁ!!!」 逃げるクラスのアホ男子その1を追いかけるが陸上部期待の星らしいその脚力でまんまと逃げられる。くっそう後で覚えてろ! いつの間にやら広がったらしい私の弱点。こんな調子で男子も女子までもからかってくるもんだから最近私は一日十回近く悲鳴を上げてる。蜘蛛を素手でつまみあげゴキブリも踏み殺すこの私が、ああ情けない!! 「あ、鍋島だ。」 「きゃーーーーーーーっ!!!?」 こうして今日も学校に私の悲鳴が木霊する。 |
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偶には恋愛小説書こうと思った結果がこれだよ。