(鏡面を潜った途端、闇に慣れていた視界が光に覆われ咄嗟に閉じた瞼の上を腕で覆い庇う。
 徐々に光になれた頃、ざぁ…っと吹く風や揺れる木々の葉擦れ、鳥の囀りなどに誘われるよう腕を下ろせば、アナタはそこが陽の下である事に気がつくでしょう。視界に広がるのは豊かな自然に恵まれた森。そしてアナタがTVでしか見たこともないような…或いはTVですら見たことのないような巨大な豪邸が、その森に囲まれるようにして建っている。)

 ……。
(感嘆の息か驚愕の呟きかを漏らしたアナタは思い出すでしょう。<世界の狭間>で出会った男の言葉を。彼の言葉を信じるならば、この世界の名は【アスタルテ】で、あの建物は【天支】とかいう組織の本拠地ということになる。)
 ―――。
(さて、これからどうするか、と、悩むアナタの頭上で、ガサリと何やら物音が。)
 ――?
(疑問に思い空を仰げばアナタの直ぐ後ろにそびえる木の、枝が大きく撓ってそこから見知らぬ少年が顔を覗かせた。)
 …あれ?
(きょとん、と、少年は目を瞬きアナタを見つめる。そして、くるんと一回転し器用に木から下りてくるとアナタの顔を覗き込み首を傾げた。)
 ええっと、ハジメマシテ?
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